2.午後三時。滝沢智則と宇田夏樹は

2.午後三時。滝沢智則と宇田夏樹は

八月一日 千葉県佐倉市

午後三時。滝沢智則と宇田夏樹は社のオフィスにいた。駐車場入り口に常駐している警備員には突然決まった休日出勤だと告げていた。オフィス内を完全に起動状態にすると、夏樹はサーバを制御する端末を操作する。
「滝沢さん?」夏樹が訊いた。「滝沢さんがわたしを脅したって言っても、誰も信用しないと思うんだよね」
 確かにその通りかもしれないと滝沢は思う。しかし、納得してはいられない。
「ぼくみたいな真面目な人間は、思い詰めると何をやらかすかわからない。そのセンでいけないかな」
「うーん、まあ、思考停止の人はそれで納得するかもね。でも、わたしも共犯ってことでいいよ。滝沢さんがいない会社なんて面白くなさそうだし」
「気持ちはうれしいけど、これは犯罪だよ。刑務所か罰金か。経歴に傷がついて、どこも雇ってくれなくなる」
「わたし、ハッカーだから。雇われなくてもなんとかなっちゃうと思う。ここに来るまではフリーだったしね。あ、ハッカーってイメージ悪いか。そういうんじゃないんだけど──」